高額療養費の改定案

昨今のニュースでも報道されているが、健康保険の高額療養費制度の見直しが厚労省の社会保障審議会で議論され1、自己負担限度額の引き上げを2025年8月から段階的に実施することが決定している。これは患者に大きな負担増を及ぼし、制度の在り方にも疑問を呈されるような内容であるが、国会の野党質問では、4回の議論で決定されたことと、がん患者団体へのヒアリングを避けたこと2といった決定プロセスが問題視され、引き上げ凍結を求める動きとなっている。

2月14日には、過去12か月に3か月以上対象となった場合に適用される「多数回該当」について、4か月目以降の負担額を上げずに据え置く修正案が厚労省から発表された。それ以外の引き上げについては保持されているが、下手すると、この修正案で決着してしまう気配がある。

そうなった場合、患者にはどれだけの自己負担が及ぶことになるのか。報道では主に、次回8月の改定が取りざたされるが、その後も1年ごとに計3回の引き上げが予定されている。2回目の引き上げでは所得区分の細分化が発生し、階段状に整形されるようになっている。

社会保障審議会医療保険部会の資料と現在の高額療養費の資料3を入手し、ChatGPTで次のように質問した:

高額療養費について、70歳未満の負担が2025年8月以降の各時点からどれだけ増えるか、年収ごとに整理して表にしてください

この出力結果を修正・整形して、次の表を作成した。

ここでは、目安となる年収区分に対して現行と将来の各改定後の自己負担限度額、および適用額の差分と増加割合を示している。たとえば年収700万円であれば年収区分「約650万~」の行を参照して、2025年にひと月あたり8,100円、2026年にさらに25,200円、2027年にまた25,200円だけ自己負担限度額が上がる(=高額医療での給付額が減る)ということだ。

ここからは、今回の10%以上の引き上げだけでなく、次回以降の、年収によっては3割弱にも及ぶ引き上げが問題になるであろうことが見える。

気になっているのは、「うちの保険組合は付加給付があるから安心」という声だ。共済組合や一部の社会保険組合で導入されている付加給付は、自己負担が月2.5万円といった一定額に収まるよう、高額療養費の限度額を適用した残りの超過分を組合から支給するという制度だ。

引き上げ後も制度を維持するのであれば、削減された給付額の分だけ組合から上乗せして支給することになる。しかし当然ながら、組合の支出がそれだけ増加することになる。果たして保険料も自己負担も変えずに財政を維持できると考えていいのだろうか?場合によっては、引き上げ分がそのまま自己負担に転嫁される未来もあるのではないか。

実際、組合間の格差が取りざたされ、共済組合については見直しを示唆する大臣発言もあるという。この改定は、加入している保険組合によらない共通の問題として捉えるべきであろう。

  1. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49644.html ↩︎
  2. https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2025-01-10/ ↩︎
  3. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html ↩︎

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